フライキャストの原理を知ると上達がはやい!
フライのキャスティング(投げること)は他の釣りと比べて独特なので、始めたばかりの方は少し練習が必要になります。
でも安心してください。なぜ飛ぶのかが解かれば、飛ばし方が解かります!そして上達をはやめることにつながるのです。
ここでは初心者のキャストがよりはやく上達するコツを解説していきます。
結論
結論を先に示しておきます。ここではフライキャストのコツについて、次の5つのことを後述します。
①10時の位置でロッドを止めることで、ロッドの反発力が活きる。
②力の込め方は、初速ゆっくりで、徐々に力を込めて、最後にMAX。
③力を込めたゾーンの延長上にラインが飛んでいく。
④ロッドの振り角は2時から10時の範囲とすることで直線的に力を伝えられる。
⑤ループのできる原理を知ればループの幅をコントロールできるようになる。
前提として
初めてロッドを振るひとは、後ろにラインを飛ばす「バックキャスト」からまず練習を始めます。
次に、前へラインを飛ばす「フォワードキャスト」を練習します。
そしてバックキャストとフォワードキャストを連続して繰り返す「フォルスキャスト」に移るのがセオリーです。
今回の「フライラインを飛ばす原理」とは「バックキャスト」「フォワードキャスト」「フォルスキャスト」すべてに共通するため、ここでの知識を理解すると格段に上達が早まることになるでしょう。
まず最初に大事なことは、バックキャストからフォワードキャストへ移るときには、ラインがしっかり伸びきった状態をつくるということです。これはフォワードキャストからバックキャストに移るときも同様です。
バックキャストは通常目で追うことがないため、初心者の方は後ろでラインが伸びきるのに必要な「溜め」をつくれず、ラインが伸びきる前に前方へロッドを振り始めてしまいがちです。
これをしてしまうと「テーリング」という現象が起こり、ライントラブルの原因となるので、しっかり溜めをつくる感覚を身に付けましょう。
※テーリングとはラインの先端が跳ねて、ラインが直線的に飛ばない現象のことを言います。これはライン同士がぶつかって絡まったり、結び目ができる原因となります。
また、ロッドを寝かせ過ぎるとラインが落下して地面に接触してしまうため、時計の10時~2時の間でロッドをきっちり止めて振りましょう。バックキャストは頭の上にはね上げるようなつもりで、2時方向へロッドを止めると上手くいきます。
ここからが本題
10時の位置でロッドを止めることで、ロッドの反発力が活きる
フォワードキャストでもバックキャストでも原理は同じですが、ここではフォワードキャストで説明します。
ロッドを2時の位置から前方へまっすぐ前へ振ります。
そして10時の位置でピタッと止めます。
ここまでは聞いたことがあると思います。ではなぜ10時の位置で止める必要があるのでしょうか!
ここが最も重要なポイントで、これを理解できれば格段にキャストが上達します。
ボールを投げる際などは、腕の振り角が大きい方が遠くまで投げられますが、フライキャストの場合は曲がったロッドが真っすぐに戻ろうとする反発力を利用するため、10時の位置で止めることが大切になります。
そうすることで、ロッドを振った勢いに、ロッドの反発力を上乗せすることができるようになります。
※ちなみに、ロッドを振った場合の振り角を「アーク」と言います。
力の込め方は、初速ゆっくりで、徐々に力を込めて、最後にMAX
力の込め方は、初速はゆっくり振り始め、徐々に力を込めて、10時の位置で最大とします。
初速から力強く振ると、これもテーリングの原因になるので注意しましょう。
ここで言う力の強さとはロッドを振るスピードのことです。ロッドを速く振れば、ラインも勢いを失わずに飛びます。
もし、ラインが落下して地面に触れてしまうときは、もう少し速く振ってみてください。
力を込めたゾーンの延長上にラインが飛んでいく
また、もう一つ理由があります。
フライキャストはロッドを振った勢い(運動エネルギー)がフライラインに伝えられて前方へ伸びていくように飛びますが、このフライラインへ伝わる力はできるだけ直線的であるべきということです。
2時から10時に向けて込めた力は、その延長上に伝わって行きます。
でも、もし振り角が大き過ぎると、伝えたい力の向きが分散されて下の図のようにラインが飛ぶことになってしまいます。
振り終わりに生じるロッドの反発力も下向きに作用してしまいます。
ロッドの振り角は2時から10時の範囲とすることで直線的に力を伝えられる
なので、ロッドの振り角(アーク)を2時から10時までの間で振るということが、ラインを飛ばす力を生み出すために「ロッドを振る」という動作を、力を伝えるべき方向を「直線に近い状態」で行えるということになります。
※ある程度キャストが上手になってくると、次はより遠くへ飛ばしたいと考えるようになります。今回は解かりやすいように「力を入れるゾーン」とだけ表現しましたが、もし遠くまで飛ばしたいと思ったときは、ロッドの振り始めから振り終わりまでの竿先の軌道が直線状を通るように振れるようになると遠投ができるようになります。これを「ストレートラインパス」と言います。極論として、思い切り腕を後ろに伸ばした状態から、ロッドを最大限曲げて最大の反発力を生み、思い切り前に腕を伸ばしたところまでを、最大速度で直線上に竿先が通るようにキャストすれば、最大距離が出せます。
ループのできる原理を知ればループの幅をコントロールできるようになる
ループの幅はこうして決まります。
ループの幅が狭くなったり、広くなったりするのには理由があります。
2時から10時に向けてロッドを振ると、力を込めた直線状にフライラインが飛んでいきます。
10時の位置でロッドを止めると、曲がっていたロッドが真っすぐに戻り、フライラインが飛んでいくレーンより下に下がります。
フライラインが飛んでいくレーンとロッドの竿先との落差がループの幅となります。
力を込めたゾーンの後にロッドが下がれば下がるほどループの幅が広くなり、ワイドループとなるわけです。
これが解かっていればループの幅をコントロールできるようになります。
まとめ
フライフィッシングを始めたばかりのひとが出来るだけ早く釣りを楽しめるように、キャストが上達するコツについて以下のことを解説してきました。
①10時の位置でロッドを止めることで、ロッドの反発力が活きる。
②力の込め方は、初速ゆっくりで、徐々に力を込めて、最後にMAX。
③力を込めたゾーンの延長上にラインが飛んでいく。
④ロッドの振り角は2時から10時の範囲とすることで直線的に力を伝えられる。
⑤ループのできる原理を知ればループの幅をコントロールできるようになる。
フライを飛ばすということはフライラインを飛ばすとこととも言えます。キャスト練習でやみくもにロッドを振るよりは、①~⑤までのことを解かったうえで臨んだ方が上達がはやいはずです。
このフライラインを飛ばす「原理」はスペイキャストでも同じなので、後々、また役に立つこともあると思います。
とはいえ、「頭で解かっている」ことと、「実際にできる」こととは別物です。
頭で思い描いた通りに体を動かせるようになるには、やはり体で覚えるための練習が必要です。
地面に接触しないように前後へ続けて振れるようになるには、さほど時間はかからないので、そこから先は実際に釣りをすることが楽しい練習になると思います。